冬の絶景蔵王の樹氷群!巨大なスノーモンスターに圧倒されるスノーシュートレッキングへ。

蔵王樹氷スノーシュートレッキング

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2020年2月17日、東北の蔵王山へスノーシュートレッキングへ。本格的に登山をする前から、ずっと行ってみたいなと思っていた冬の蔵王。

冬の絶景スポットの紹介で必ずと言っていいほど、名前の上がる蔵王の樹氷群。”スノーモンスター”と呼ばれるのも納得。まるで異世界に迷い込んだような、青と白の無音の世界。

生まれて初めて厳冬期の雪山へ行ってきた感動を、少しでも皆さんに伝えれたらなと思います。

目次

樹氷とは?

過冷却した霧粒または雲粒が樹木に吹きつけられて凍ったもの。下記のように限られた季節の日本国内の一部でしか見られないので、様々な条件が揃って初めて発生する大変珍しいものです。

「スノーモンスター」「アイスモンスター」「雪の坊」など、様々な愛称があります。

樹氷ができる条件

樹氷は、東北地方の奥羽山脈の一部の山域(八甲田山、八幡平、蔵王連峰、吾妻山)の亜高山地帯にしか確認されず、海外でもはっきりした報告はありません。樹氷ができるためには、次のような特殊な条件が必要だからです。

① 着氷と着雪の基になる多量の過冷却水滴と雪が、常に一定方向の強風で運ばれてくること。

(風向が一定しないと、樹氷は成長しません。気温が高いと雪が解け、また低すぎても雪がつきにくい。)

② 植生として、「アオモリトドマツ(学名:オオシラビソ Abies mariesii・亜高山針葉樹林の代表種)」などの着氷と着雪の起こりやすい常緑針葉樹が自生していること。

(ブナなどの落葉広葉樹では氷や雪がつきにくい)

③ 積雪が適量であること。

(雪が多すぎると、「アオモリトドマツ」は埋没します。また少なければ、当然樹氷はできません。なお、蔵王の樹氷原の積雪の深さは、平年で2~3m程度です。)

冬の蔵王の気象

シベリアからの北西の季節風は、日本海の対馬暖流(夏は25℃くらい、冬でも10℃前後)から多くの水蒸気をもらい雪雲をつくります。その雪雲は朝日連峰で上昇して多量の雪を降らせ、山形盆地を通り、再び蔵王連峰で上昇して雪を降らせます。そのときの雲の中は、多くの雲粒が0℃以下でも凍らない過冷却水滴になり、雪と交じり合った状態になります。蔵王の1~2月頃は快晴の日が少なく、風向は北西から西を示し、平均風速10~15 m/s、平均温度-10~-12℃の吹雪の世界となります。
蔵王の樹氷はこうした気象条件で成長します。

樹氷のでき方

樹氷は、「アオモリトドマツ」に

① 着氷(雪雲のなかの「過冷却水滴」が枝や葉にぶつかり凍りつく)
② 着雪(着氷のすき間に多くの雪がとり込まれる)
③ 焼結(0℃付近の雪は、互いにくっついて固く絞まる)

という現象の繰り返しで、氷と雪に覆われ、風上に向かって成長します。こうしてつくられた樹氷の表面は、その形状から「エビのしっぽ」と呼ばれています。「エビのしっぽ」は、先端をはじめ、縁や外側部分で盛んに成長するため、発達する幾つも重なり合って群れをなします。尾びれ状の長さは10cm程度で、叩くと簡単に壊れます。また、樹氷群を巡る風は様々に乱れ、樹氷表面のエビのしっぽは複雑に変化し、樹氷独特のスタイルを造り出します。

出典:蔵王の樹氷 – 山形市観光協会

蔵王ライザワールドよりスタート

今回訪れた蔵王は山形県と宮城県の県境に位置します。いくつかアクセス方法がありますが、今回は山形側の蔵王ライザワールドからスキーリフトを使って刈田岳頂上を目指していきます。 リンク

基本情報

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住所〒999-3113 山形県上山市蔵王坊平高原
電話番号023-679-2311
FAX023-679-2316
営業期間12月中旬~翌4月上旬
営業時間8:30~16:00
駐車場1300台 無料
E-mailwoody@zaoliza.co.jp
アクセスJRかみのやま温泉駅よりバスで40分
山形蔵王I.C.より車で50分
HPhttp://www.zaoliza.co.jp/

スキーリフトを乗り継いでリフトトップへ

まずは2本のリフトを乗り継いで樹氷原へ向かいます。 料金は1区間350円×2で片道700円です。 冬の蔵王ってなかなか晴れないって話だったんですけど、雲ひとつない快晴でした。もはやこの時点で美しすぎます。

蔵王ライザワールドスキー リフト

ちなみに前に乗ってるのは職場の先輩です。

初めての雪山なので、経験者の方がいると心強い。

蔵王ライザワールドリフトトップ

リフトトップ周辺の樹氷。

終点の標高は1450m。ここから樹氷原を抜けて、刈田岳を目指します。

リフトトップから登山開始

スノーシュー装着

ヘリノックスのポールとアトラスのスノーシュー

Helinoxのポールにはスノーバスケットつけてます。

ポールとスノーシューどちらも青で統一。僕が使ってるスノーシューはATLAS アスペクト24です。6〜7年前のモデルで古いモデルですが、mont-bellのアウトレットで2万円弱だったので飛びついちゃいました。 リンク リンク 今期の新モデルヘリウムめっちゃかっこいいです。これが出るの知ってたら多分こっち買ってました。

スノーモンスターのお出迎え

少し歩けば早速巨大なスノーモンスターの登場。

蔵王のスノーモンスター

リフト付近はまだ木々の部分が見えてましたが、がっつり雪に覆われてます。

エビのしっぽ

冒頭で解説した、樹氷の形成途中の姿。

風上方面へどんどん伸びていってます。

エビの尻尾

樹氷原〜馬の背分岐

しばらくすると一気に視界が拓けます。

蔵王の樹氷原
蔵王の樹氷群
蔵王の樹氷原に立つ男性

この辺りは積雪量も多いので、小ぶりなスノーモンスターが多いです。

小ぶりなスノーモンスター達

強い日差しで逆光の影になった部分がより不気味に感じます。

蔵王樹氷スノーシュートレッキング

どこを見ても樹氷まみれ。異世界に迷い込んだように錯覚してしまいます。

巨大なスノーモンスター

高さ5mはゆうに超える巨大な樹氷。

大きく育ったスノーモンスターの前ではつい足が止まってしまいます。

蔵王の樹氷と飯豊連峰

歩いてきた道を振り返ると、樹氷と冠雪した飯豊連峰。

太陽と樹氷

巨大な雪の壁に立つ樹氷達。なんだか怖い…。

巨大な雪の塊

巨大な雪の塊。この辺りからだいぶ風が強くなってきてます。

馬の背分岐〜刈田岳

なだらかで広大な稜線へ出ました。馬の背の分岐です。

ここから左へ進むと最高峰の熊野岳方面、右に進むと刈田嶺神社のある刈田岳方面となってます。

蔵王の馬の背分岐

晴天に恵まれましたが、ものすごい強風でした。

馬の背周辺はかなり風が強いことで有名で、この日は確か風速15m/s〜20m/sほどはあったと思います。

蔵王御釜への道

その前に蔵王と言えば、御釜。近づいて見てみることに。

冬の御釜は雪の中

美しいエメラルドグリーンの御釜は、冬季は完全に雪に埋もれてしまってます。

蔵王の御釜
蔵王の御釜

←冬季 夏季→ 季節問わず蔵王は晴天率は低いので、夏季も一瞬の雲の切れ間から見えた程度でした。

御釜から刈田岳の稜線へ

稜線へと戻ります。この辺りはかなりガチガチに凍ってるので、アイゼンまでは必要ではありませんが、十分なトラクションのある山岳モデルのスノーシューがあった方が安心だと思います。

蔵王刈田岳の稜線

刈田岳への稜線へ戻ってきました。

雪に覆われた刈田岳レストハウス

レストハウスは雪に覆われたお城のよう。

写真じゃ分かりにくいですけど、ここも強風でかなり雪が舞い上がってます。

刈田岳(1758m)登頂

刈田岳山頂へ到着。後方には御釜と熊野岳方面の景色が見えます。

刈田岳山頂

夏季に刈田リフトを使って、二度ほど訪れた事がありましたが、その時とは全く違う青と白だけの世界が広がってます。

雪に覆われた刈田嶺神社

鳥居も全て雪で覆われて、樹氷と同じような状態になってます。

雪に覆われた刈田嶺神社

屏風岳方面の美しい稜線

そしてここからの眺めと言えば、この美しい稜線。

刈田岳山頂から見る厳冬期の屏風岳への稜線

宮城県の最高峰でもある屏風岳へと続く道。

屏風岳周辺に広がる樹氷原は、今回の刈田岳手前や、蔵王温泉からアクセスする地蔵山とはまた違った雰囲気の樹氷が見れるらしいです。一部急登があったり、こちらもよりも激しい強風が吹くようなので、もう少し経験積んだら行ってみたい。

雪洞の中で昼休憩

雪洞化した刈田嶺神社で小休止。

バックカントリーの方がちょうど到着してますね。ここまで板を担いだ人だけの特権。この後樹氷原の中を滑るんだろうなと思うと羨ましい。

雪洞になった刈田嶺神社からの眺め
スノーシューとカップ麺

お昼ご飯はカップうどん。

あったかいのは最初の一口だけで、みるみる冷たくなっていきます。すごく楽しい山行でしたが、山頂付近の強風と、動かなくなってからの体温低下には山の厳しさを感じました。

蔵王の樹氷群

その後は、元来たルートを戻ります。行きと違い徐々に雲が増えてきてます。

蔵王の樹氷群

さらに雲が増えてきて太陽が遮られると、モノクロに近い雰囲気に。

すでにお昼は回っていて、ほとんど人の気配は感じません。樹氷原に戻ってしまえば無音の世界に逆戻り。最高の条件で樹氷を見れた喜びを噛み締めながらスキー場へと戻りました。 ↓今回の撮影で使った機材 リンク リンク

注意点

きちんとした雪山装備があれば、樹氷は誰でも楽しむことが出来ますがいくつか注意点があります。

樹氷に近づきすぎない

樹氷のツリーホール

樹氷の近くはツリーホールと呼ばれる吹き溜まりになっています。埋没すると最悪身動きが取れなくなる場合もあるので、近づきすぎないようにして下さい。

雪庇には近づかない

雪庇とは山の尾根部分に風上方向に伸びた、庇上の雪の塊です。

蔵王御釜の巨大な雪庇

御釜周辺には特に大きな雪庇があります。こちらも近づきすぎて滑落しないよう十分に注意が必要です。

視界不良の場合は即撤退を

この日はとても運が良かっただけで、蔵王はとても晴天率が低いです。

難所もなく、初心者の方にも十分お勧め出来るルートですが、あくまでも気候が安定していた場合のみです。山の天気は変わりやすく、悪天時に視界不良で道迷いなども起きやすいです。最悪遭難してしまえば死に至る事もあります。

単独での入山は控え、経験のある方と行動するよう心がけてください。

まとめ

いかがだったでしょうか?

初めての蔵王でこれほど晴天に恵まれたのは本当に運がよかったです。すっかり樹氷の虜になってしまいました。蔵王だけでなく八甲田山や森吉山、西吾妻山なども有名な樹氷スポットなのでいつか行ってみたいです。

これを機に少しずつ雪山登山に挑戦して行きたいと思うので、少しでも魅力を伝えていけたらなと思います。

手軽に樹氷を楽しみたい方へ

もし経験者の方の同行や雪山装備の調達のハードルが高い方は、山形県側の蔵王温泉からロープウェイを使う方法や、宮城県側のすみかわスノーパークから雪上車(完全予約制)を使う方法など、樹氷を楽しむ方法はたくさんあるので是非一度足を運んでみて下さい。

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